チーム「せとぎわ」第14回キャチロボ機体紹介

こいつ...動くぞ!

機体紹介

機体名:「せともの」
機能:手先をxy方向に駆動/2つのハンドで吸着/ベルトでの搬送/有線コントロール(位置制御)
試合での最高点:19点(通常+18ボーナス+6減点-5)

理論値としてはボーナスとかすべてがうまくいけば通常27、ボーナス18で45点くらい行けるという想定だった。(実際はベルトのつまり、ハンドの吸着とかがかなり難しく、操縦者の22-Daichiと22-McbeEringiが頑張ったので何とか19点取れた感じ)

22-daito:全体管理、ハンド、アーム初期設計辺りを担当
22-Daich:アーム、強電あたりを担当
22-McbeEringi:回路全般、制御全般あたりを担当

メカ

メカ周りは1か月前には終わらせて追加機能とかやりたいねとか言う話をしていましたが、結局本番仕様になったのは超直前でした。一応動く~くらいまでは予定通りだったけど、そのあと本番これで行こうの完成度になるまでの労力見積もりが甘かった。

アーム
基本コンセプトとして

  • アルミフレームを用いて軽量&組み立て性&後から調整可能
  • 3dプリンタ(ender3とか)を参考にアルミフレームをそのままリニアレールとして使う
  • xyそれぞれをロボマス(m3508)で駆動

があった。2段3段にするつもりだったものの、後述するベルト運搬方式のシューティングに変更したためxyテーブルはそれぞれ1段となった。
駆動はロボマスで十分以上で、ラックとピニオンが3Dプリンタ製だが意外と耐えてくれたのもありスムーズに動作した。

主に土台も含めたy軸フレーム、xyをつなぐジョイントユニット、先端にハンドがついたxアームで構成。
結構軽量でできて1週間間に形になった時点で軽量して8kgだったので、16kgの重量制限楽勝だなガハハと言っていたら、直前につけたケーブルやら補強やらで当日16kgを少しオーバーして焦る羽目になった。ネジやナットケーブル類は数あると意外と重いという教訓。

ほぼ限界サイズで作ったが、アルミフレームで分解して運べたので遠距離参加だけど何とかなった。その代わり大会初日は組み立てて終わった。

ハンド

ハンド(2つ対象についている)


mg996r1つ/ハンドで姿勢保持で動作しつつ、アーム先端に付けるためなるべく軽くしたことがこだわりポイント。
元々は平行リンクで姿勢保持していたが、特異点の問題でたまに手先がひっくりかえってしまうという問題点があったため紐で姿勢保持することに変更。
ベルトが理想だったが、テンション欠けたりでめんどくさいの考えると太めの水糸なら強度十分だよねと考えてTPFEチューブをガイドとして使用。テンションは人力で頑張ってセットしたけどメンテ性がよくなかった。

吸着はマキタの掃除機のファンユニットからダクトホースを伝って伝達。
手先は3Dプリンタ型でシリコン成形して自作。シリコン成形は色々試して結構うまくいったのと、吸着性能の向上以外にクッションになってせとしおの破損を防いでくれたのも嬉しいポイント。

ほんとは3つ付けてキングギドラしたかったものの干渉やら期限やら操作性やらで本番では2アームに。片方が調子悪くなってももう片方で多少何とかなったのは助けられた。

シューティング


物流倉庫的な発想で丸ベルトのラインで瀬戸塩を運搬し、仕切り板みたいのを動かして任意の場所に落とす作戦。
2人操作がルールで認められているので一人はピッキング、一人はシューティングというので分けられて効率アップを狙った。結果的にそこそこうまくいった。

ベルトはDCギヤードモーター、仕切り板はサーボで動かしている。
DCギヤードモーターと用意したモタドラの相性が悪く、そのことに気づくまで結構時間がかかったことにより地獄だった思い出。初動でそんなに電流食うのねキミ…

分担の流れ作業で効率は良かったものの欠点としては、丸ベルトの隙間とかライン間で瀬戸塩を落とすときにたまに詰まる(ベルト逆転させたりガチャガチャさせると治ったりする)ことや、落下防止をつけていてもせとしおを落として減点になってしまったりした点。あと丸ベルト溶着で長さ調整できるのは良かったけど慣れるまで火傷したり大変だった。あと組み立てメンテ性が悪いことに苦しめられた。

実はコートのどっち側に配置されるかでシューティングの左右が変わるので組み替えないといけないのだが、この組み換えは約一時間要するので予選のコート分けによっては組み替えられない事態が発生するところだった。この問題はすべての試合赤コートを引くという豪運で解決した。

回路

設計がよかったのかモタドラ以外の部分で大きく遅延することがなく、そのおかげで大会当日動きましたありがとう。

強電
3Sと4SのリポをDCモーター、ロボマス、弱電へ降圧へ分電しつつリレーをかませて緊停できるようにしている。禁停ボタンは主電スイッチを兼ねており酷使されたがちゃんと止まってくれた。直前に完成したが22-Daichiの丁寧な仕事により負荷がかかった時もちゃんとヒューズが壊れて止まってくれた。

余談だが、もともとはロボットの大きなコンセプトの一つに60W30Vのモバイルバッテリー2つでtype-cのPD給電で動かそうぜ!というのあり、計算上行けたのと実際途中まで動作していたものの、実験中におそらくモータの急逆転時の逆起電力によりモバイルバッテリー1つ(22-McbeEringiの私物)とPD充電器(22-daitoの私物)が葬られてお通夜になったので、ちゃんとlipoに保護回路いれてやろうということになった。そのため結構直前まで安定化電源装置2台給電で動いていた。

制御基板とコントローラ
元々McbeEringiが作っていた極小attiny基板を複数つないで基板見えないくらいにする予定であったが、色々あってesp32を主マイコンとして使用。

DCモーターとモタドラの相性とかで苦しんだものの回路自体はほぼ問題なく最後まで動作してくれた。

  • 構成: コントローラx2→主制御→pwm用副制御x2
  • マイコン: 主制御?ESP32C3-WROOM-02:ATtiny1608
  • アクチュエータ:{xy軸:M3508,ベルトx3:アマゾンの12V500rpmギヤードモータ,ハンドx2 & xy交差地点:mg996rサーボ,シュート左右:sg90,シュート前後:fs90r+可変抵抗→多回転離散サーボ
  • お手製コントローラ
  • ds風アナログジョイスティック付きメインコントローラ
  • wiiヌンチャク風サブコントローラ
  • 制御も全部ユニバーサル基板手はんだ
  • ボタンを押してからの経過時間のみを変数に取る制御で同期と動作中の割込操作が可能
メイン基板
メイン基板裏
一発動作していた。すごいね

構成詳細
サブctl

  • 上下左右押下5ポジジョイスティック
  • tactile sw *2

    メインctl
  • 左右tactile sw dpad
  • 基板端tsw2+tsw2
  • スライドタイプのアナログジョイスティック
  • アキシャルリードタクトスイッチによる密集した実装
  • 元々個人で制作中だった無線コートローラを転用
  • 主制御板{
    主制御用ESP32C3-WROOM-02
  • BSS138のレベルシフタ*2
  • ステータス用ws2812c-2020
  • WiFi経由でモバイル端末から操縦及び値の確認が可能

    ベルトモタドラ用ATtiny1608
  • TB57H450FNGがなぜか始動トルク出せず
  • 2chモタドラTB6612を並列にして使用
    }

    ファンモタドラ用ATtiny1604
  • ESPのPWMが足りなくなって急遽増設

マイコン間通信は一方向のUART
一つのデータは8bitで完結させることでパケロスによる通信のロスを低減

制御

回路で大体述べてくれたので
https://github.com/McbeEringi/setogiwa
を参照。

感想

初期設計からでうまくいったところしては、アルミフレームベースの設計、吸着周り。
修正してよかったのはベルトコンベア、電源と制御基板。
反省としてはメンテ性が低い、部品点数が増えすぎたところ。
モジュールごとに分担していたのはいいけど組み立て統合で時間とられ過ぎたのが完成度に結構影響してしまった感想。

次作るロボットは機能絞ってその代わりに分解組み立てしやすくしたいお気持ちです。でかめのラジコン系とかつくりたいな

目指せ外装までこだわれるロボット!


チーム「せとぎわ」第14回キャチロボ参戦記録

挨拶・概要と結果

こんにちは。22年度入学でB3のdaito(と22-Daichi、22-McbeEringi)です。
大学混合3人チーム「せとぎわ」として京都府のけいはんなオープンイノベーションセンターで行われた2024年度のキャチロボバトルコンテストに参加してきたのでその報告をさせていただきます。
結果から言うと全体70チーム中だいたい20位で本選出場ならずだったもののエキシビジョンに出場させていただきました。
大会中継のYoutubeのアーカイブはこちら

参加経緯

咋年度に先輩チームらが制作しているのを見て漠然といつか出てみたいな、という思いがあった22-daitoが残り二人を勧誘して出場しました。
4月チーム結成でメイン稼働は夏休み期間、場所は主にロ技研で活動していました。

軽くルール説明

今年のルールは「Catch the 瀬戸しお!」ということでフィールド上にランダムに配置された瀬戸塩を最大36個、制限時間3分で回収するというもの。
Youtubeとかで動画を見てもらうと規模感が分かりやすいと思います。

image
今回キャッチした瀬戸しお(栗山米菓)。実験で破損したり知らんうちに誰かが食ってたりするので近くの東急ストアで補充していました。

結構壊れやすい対象で割ってしまったり落すと減点になるのもあり、優しく早く確実にピックするというキャチロボの難しさを感じるルールでした。

スケジュール・大会当日

ざっくり開発スケジュール
4月 チーム結成
5月 始動、各自要素実験
6月 ハンドとアームの初期のができる→修正へ
7月 アームv2、ハンドv2の初期ができる
8月前半 アームとハンドの概形が完成、部分的に統合して動作テスト
8月後半 ベルトコンベアや回路(制御まわり)が付く
9月前半 電源回路が付く、シューティングが付く、ハンド増設、制御
9/12 早朝東京出発、夕方奈良着、ホテルで回路を仕上げる
9/13 準備日:ばらばらにして輸送した本体の組み立て、回路制御確認
9/14 午前準備:計量オーバーしたので軽量化、操縦練習、テストラン。午後予選 
9/15 本戦(エキシビジョン出場)
9/16 京都製作所の工場見学をさせていただく→車で東京へ

ピット(準備場所)での当日練習


思い出

  • 4,5月時点での早めに完成させてこれもやりたいね~というロボコンあるある
  • 7,8月だんだん焦ってきてたまにギスる
  • 8月後半修正部分が多くてとりあえず直すのを繰り返すうちに現物がCADを追い越し始める(反省)
  • 9月初旬の徹夜するしかない時期
  • 1人1本はんだごてを持って行って現地はんだで回路を完成させたこと
  • 当日計量(上限16kg)で、8月半ばで8kgだったので余裕こいていたら0.5kgくらいオーバーして肝が冷えた
  • サイゼリヤに行きまくっていた
  • 当日遊びに来てた22-McbeEringiの友達が動員されていたこと(ありがとう)
  • 何とか当日動いてエキシビジョンも出せてもらえてうれしかった
現地進捗

現地進捗してる様子

ざっくりかかったお金

機体 -173000円
宿泊・移動 -57000円
参加特典・遠方補助 +40000円
合計出費約19万
3人チームなので1人63000円くらい
賞もらえなかったので赤字だけど遠征込みにしてはがんばって安く収めた。

大きかったなと思うのは

  • ロボマスモーターを融通してもらえたこと
  • 最終日の宿泊費補助をもらえた
  • 最後の方の調整で結構余計な部品を買ってしまった

東京から車で行ったことで色々便利だったけれども保険ガソリン高速料金とかでなんだかんだ3人で5万くらいになったので新幹線とそんな変わらない気もする。

一言

色々大変なこともあったし本戦まで行けなかったのは悔しいですが、大会でロボットがちゃんと動いて良かった!メンバーのみんなもありがとう&お疲れ様です。

キャチロボ参加してみてルールも面白いし、勝ちに行くにもネタ的に面白いものを作るにもいい大会だと感じました。みんな出てみよう。
自分が今後ロボコンまたやるかは未定だけどいろいろ学べた気がする。
運営・参加者の方々ありがとうございました。

RISC-VでLinuxの動くマルチコアをつくるのにやったこと (3. 実装・デバッグ編2)

前回のマルチコア時に発生したバグや実装時の注意点の続きです。ここではLinuxを動かした際に出た、ハードウェアバグに関わるカーネルパニックや厄介なエラーを見ていきます。

またそんなバグを特定するために作ったデバッガの紹介もします。

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RISC-VでLinuxの動くマルチコアをつくるのにやったこと (3. 実装・デバッグ編1)

RISC-Vのマルチコア化をやっていますが、1コアでも複雑極まりないプロセッサが2つになってデータの取り合いをするのですから、厄介極まりない事態となります。特にマルチコアでは複数のコアが同じデータを書き換えたりするので、適切な制御がないとデッドロックやデータの破損(異常値)が起こります。

ここではその厄介な状況に対処している仕組みや、実際に起こった厄介な事例の紹介をします。

“RISC-VでLinuxの動くマルチコアをつくるのにやったこと (3. 実装・デバッグ編1)” の続きを読む

RISC-VでLinuxの動くマルチコアをつくるのにやったこと (2. ソフト編)

皆様こんにちは。18のhiraです。
前回ではRISC-Vマルチコアのために必要なハードを書きました。今回はマルチコア上で動くLinuxの作製方法についてです。
(とはいえ動けばいいやのニワカ調べですが…)

“RISC-VでLinuxの動くマルチコアをつくるのにやったこと (2. ソフト編)” の続きを読む

RISC-VでLinuxの動くマルチコアをつくるのにやったこと (1. ハード編)

皆様こんにちは。18のhiraです。
僕はコンピュータ工学をやっているつもりで、研究ではRISC-Vのプロセッサをマルチコアにする作業をしていました。とはいえ、どういう機能を追加する必要があるのか、それはハードで実装するのかソフトで対処するのかなど戸惑ったことも多かったため、備忘録として残しておきたいと思いました。

Intel Core i9 13900K のダイショット
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【第13回キャチロボ】じゃがビーの亡霊機体紹介 ~コンセプト&機体概要~

みなさんこんにちは、2018年度入学、M2のたくぽんです。

この9月に京都で開催された、「第13回キャチロボバトルコンテスト」に参加してきました!
サークル内の有志2人で集まり、チーム「じゃがビーの亡霊」として出場しています。自分は機械設計・加工すべて、電装を担当しました。
結果としてはベスト4で、審査員賞をいただきました!

わーい

今回の記事では、出場機体の全体的な紹介をしていきます。
以降もキャチロボ機体の紹介記事を書く予定なのでお楽しみに!


コンセプト&機体概要  👈この記事
エンドエフェクタの製作詳細  そのうち出ます
XYテーブルの製作詳細   そのうち出ます2

参加経緯

私たちは去年もキャチロボに出場しており、「ラグビーの亡霊」というチーム名で参加していました。しかし、大会当日は通信関連の不調で思うような動作ができず、煮え切らないまま大会を終えます。去年の大会は「じゃがりこ」を扱う大会だったので、ラグビーでもじゃがりこでも引退できなかった、「じゃがビーの亡霊」として再度大会への参加を決意します。

去年の機体(ブログもみてね!

ところで、去年はロボコンチームMaquinistaのOB4人で参加していました。しかし就職や留学で参加できるメンバーが減り、結局修士2年生ふたりで参加することになりました。修論?まだ早い。

軽くルール紹介

キャチロボはお菓子をワークとして扱うのが特徴の大会ですが、今年のワークは「ハイチュウプレミアム」です。フィールドに並べられたハイチュウを回収し、既定の場所に並べて置いていきます。制限時間3分間で、ワークを並べて得られる得点を競います。

今年のルールでは、不安定なパウチ形状のワークをどう回収し、綺麗に整列させるかが肝となりました。

ハイチュウを回収し、シューティングエリアにプレイスして得点を得ます

つくった機体

まずは大会でのロボットの動きを見てください!青チームです!

今のところ最新作なので最高傑作です

伸展するXYZテーブル、大きく拡縮するエンドエフェクタが特徴です。ごつく見えますが、総重量はPC込みで10kgとそんなに重くないです。


めっちゃいろんなところが伸び縮みするので、この子は「Expandroid」と名付けられました。

かっこよ
かっこよ2

↓ぐりぐりして見れる3Dモデルはこちら!Inventor2022形式の拘束がちゃんとされてる設計データ(zip形式)はここにアップロードしてます。詳細気になる方はダウンロードしてね!なにか気になるところあれば@takupon009までDMくれればウキウキでおへんじさせていただきます。

機体紹介!

開発コンセプト

キャチロボに参加するのも2年目なので、去年の機体の反省を踏まえて機体のコンセプトを立てます。

去年つくったロボット

メンバーと話し合った結果、以下の項目を満たすロボットができると良いよね!となりました。

  • 去年はロボットがでかすぎ,重いし運ぶのが大変だから小さくしたい!
    • Q:宅急便で発送すればよいのでは??
      A:ロボットを大会前に余裕をもって完成できる計画性を持ち合わせてるとお思いか?
  • 去年は円筒座標型ロボットで出たから,今年は直交座標型ロボットにしたい!
    • 直交座標系のロボットでコンパクトに作るの大変そう(𝒀𝑨𝑹𝑰𝑮𝑨𝑰 𝑷𝒐𝒊𝒏𝒕)
  • 去年と同様に,エンドエフェクタひとつでいろんな場所のワークに対応する!
    • 去年大活躍してた独立して動くアームが2つあるロボット(2コア2スレッドロボって呼んでました)も考えましたが、アームを複数つくるリソースが無さそうなので見送り
  • 去年は激安モーターを使って苦労したので,まともなモーター使う!
    • 去年使ったMD内蔵6000円DDモータはメカ的にも制御的にも非常に辛い思いをしたので、今年はみんな大好きロボマスモータを使うことにしました。


個人的な思想としては、NHKロボコンに出てたときから「かっこいい」「美しい」ロボットを作るぞという思いがありました。自分は機械屋さんなので作ったロボットを制御屋さんに渡して動かしてもらうのですが、ロボコンなのでまあ徹夜進捗が多発します。そういう大変な状況でも、愛想をつかされない程度にはかっこいいものを作るのが機械屋さんの責務だと思っています。
しっかり考えて作ったものは自ずと機能美が現れてくるものだと信じているので、”こだわりを捨てずに作る”、”納得できるものを作る”ということを意識して設計製作しました。
“納得”はすべてに優先するぜッ


ここからロボットの各要素の紹介です!

エンドエフェクタ

縮んだ状態から(ハンド間隔15mm)
ここまで広がります(ハンド間隔110mm)

共通エリア、自陣エリア、シューティングエリアで、ハイチュウの並んでいる間隔が違います。これら全部に1つのエンドエフェクタで対応できるように、独立で動く6つのハンドの間隔を自由に伸縮できる構造を採用しました。1モーターのワイヤ駆動で、等間隔を保ったままハンドの位置が変わります。

ロジャーアーム機構というらしいです(作った後に知った)

ハイチュウはサーボで開閉するハンドを使って、上から挟んで回収します。

シンプルだけどいろいろこだわってます

ハンドの開閉部分は、固定側にはt0.5mm、動く側にはt0.3mmの焼き入れリボン鋼を使って作っています。しなる素材を使うことで、裾が広がっているパウチの形状にうまくフィットしてしっかり把持してくれます。
滑り止めにはウェットスーツの生地を使っています。柔らかくびっくりするほど摩擦係数が大きいうえ、裏側(人肌側)が布地なので接着が簡単ですごい便利です。

最小要素で組むよう意識したのでハンドはかなり軽量

細かい設計の話はまた別の記事で書きます!お楽しみに!

XYテーブル

最大展開!

今回一番気合を入れた部分です。
XYテーブルは何も考えずに組むと可動域分の長さのレールが必要になるので、機体がめちゃでかくなっちゃいます。今回はコンパクトさを重視したかったので、X、Y、Z軸ともに多段にして、伸びる構造にしています。ただこの構造、片持ち祭りになるので相当剛性を高く作らないとたわんでしまって使い物になりません。

今回は、与圧モリモリ剛性マシマシの自作直動案内を作り、それをワイヤとタイミングベルトを使って両方向に伸展しつつ動かす、ということをしています。

いい感じ~~
両方向に、2段に伸びるのがミソです

テレスコになってて1方向に伸びる機構は割とありますが、両方向に伸展できる機構は目新しいんじゃないでしょうか?なかなかの面白機構ができた自信アリです。

カムフォロワと同程度の硬度である焼き入れリボンをレール側に張り付けることで、ベアリングとアルミ角パイプを使った直動ユニットにありがちな「初めはいい感じだけどだんだんアルミ側が削れてきてガタガタになる」という問題を解決しています。アルミより塑性変形しにくいので与圧をかけやすいのもGood。

そしてなんと~~~!!

ぐるっと回るXYテーブル

ぐるっと回すことで赤青フィールドへの対応ができます!
さらに、X,Y軸を平行にすることで分解せずとも超コンパクトに収納もできます!

600mm×400mm×400mmくらいまで小さく畳めます

こちらも詳細は別記事にて解説予定です!

幻の爆速ハンド

ワーク1個を2秒くらいでピック&プレイスする、爆速ハンドも実は作ってました。スケジュールがあまりにもギリギリで、本番には間に合いませんでしたが。。。一徹足りんかった。

爆速ハンドの残骸。エアで回転し、パッシブに把持・リリースをする機構になる予定でした。

こだわりポイント&写真ギャラリー

この機体にはナットがひとつも使われてません!代わりに雌ねじを切るか、それができない薄板部分には圧入ナットを使っています。組み立てや整備が簡単になりました。
ロボットを持ち運びやすいようにハンドルをつけてます。これが会場でのピットからフィールドへの機体運搬でめちゃ便利でした!
ちょっと高かったんだけどハンドルはオレンジ色にしてます。オレンジいいよね。
はちゃめちゃに伸展するロボットなので、台座部分はしっかり作らないと変形して位置決めどころじゃなくなります。
フライスで半分削り飛ばした角パイプを組木みたいに嵌め込むことで、軽量でありながら面で圧を受ける構造にして強度・剛性をUPさせてます。
リンク機構を使った、収納できるPC置き場も作りました!おしゃれさ++
アルミ板金で作ったバッテリーケース
分解せずに小さく畳めるように作ったので、鞄に入れて手荷物で運搬できます。おかげでギリギリまで作業できました。
(この後徹夜明け東京-京都新幹線立ち乗りで地獄を見ます)
思いついたことを殴り書きするための設計ノートを作っていたんですが、今回のキャチロボでまるまる一冊使い切っちゃいました。こういうの、後から見返すと思考の過程が追えて楽しいですよね。

スケジュール

機体が完成したのは本番1週間前です()。ただ、制御を担当してくれてたメンバーがめちゃしっかり準備してくれていたおかげで、組立って即日に試合ができるだけの動作ができる状態まで持っていけました!!さすが!!!

ざっくりと、5月チーム結成、7月エンドエフェクタ完成、9月頭XYテーブル完成、その後統合といった流れです。最後の方は設計しながら加工して組立する人になってました。おれはインタプリタ型エンジニアだぜ!

かかったお金

旅費を除いて10万円を見込んでましたが、大体想定通りになりました。ロ技研のおかげでアルミ材は使い放題なので(みんな入ろう!)、モーター代が負担の6割強を占めてます。ありものの部品を結構使ったのが効いてそう。大会で8万円(参加賞3万円+特別賞5万円)を勝ち取りましたがやっぱり赤字ですね。優勝したかったぜ。


おわり

みなさん、M2でもロボコンはできます。やりましょう!
キャチロボ論文執筆MFT魔改造の〆切り四重点が発生してそれはまあ大変なことになりましたが、何も命までは取られません。社会人になると学生の時と比べて参加できるロボット競技会はぐっと減ってしまうので、出られるときに出ておくのが吉です。やりたくなってもやれなくなっちゃいますからね。

できるうちに、楽しいロボコンライフを!ではまた、機構詳細の解説記事で!

限界たくぽん.png

甘い話と甘くなかった話

皆さん!度々こんにちは。

今回は甘い食べ物の話…

ではなく、甘い想定がもたらす被害のお話です。(知ってるよって人はごめんね)

甘い話

私は、今から約二ヶ月前に野菜の値段の高騰に苦しんでいました。

お値段が上がるとどうしてもお金がなくなって不景気になります。

これに例外はないでしょう。

なので、なんとか安く済ませられないだろうか?と考えました。

調べてみると野菜の値段の高騰は、野菜の価値の高騰ではなく、輸送費の高騰によるものということがわかりました。

ということは、論理的に考えれば自宅で作れば安く上がるということにならないでしょうか?

ついでに私は最近収入があまりないので次世代機の制作費を捻出する方法を考えていました。

このプラントをなんらかの形で収入源にできないでしょうか?

こんなことを考えながら私はこの企画を始めました。

順調な滑り出し

これを検討し始めて、最初に思ったのが、自分で水やりや雑草管理などのタスクを全て処理するのは、生活と両立するの大変だなぁということでした。

これをせめて水やりと雑草・害虫駆除だけでも自動化できないか?ということを私は検討し始めます。

このうち、水やりについてはいくつかのブログと、あるサークル内の仲間からの助言によって電磁弁で水流制御を行えばいいというふうに検討しました。

また、これを開発機材ごとフリマで売って仕舞えば、私の開発予算をやや増やしつつ次世代機に導入したい技術を全て投入、テストすることが可能になると結論しました。

また、遂行し始めてたったの二週間で以下の状況が整いました。

ハードウェアの基本構成は割とすぐに揃ったのです。

崩壊の始まり

しかし、計画がいかに順調に滑り出そうと、どこにでも失敗の要素はあるものです。

ましてや単独で動く企画は誰からもFBされないので確率はより高くなります。

私が最初に直面した課題は市販品のACアダプタが壊れていたことでした。

この事態は想定していなかったため、動揺して問題が市販品であることを認めるまでに二週間もの時間を支払う羽目になりました。そのことは自分の研究室配属前に爆速で処理しようという計算を狂わせ、結果配属待ちで基板発注する計画がオジャンになりました。結果的に追加で約二週間もの手待ちを発生させることになってしまいました。

また、悪いことというのは連鎖で起こるもので、この手待ち期間に概ね損害規模が大きかったものだけでも以下のような状況が起こりました。

  1. バイトをクビになる
  2. 交通事故に遭う
  3. 高熱が出る
  4. カフェイン中毒で頭痛が止まらなくなる
  5. 研究関連で解読しなきゃならない文献が大量発生する
  6. 期末テストの発生
  7. 留学関係での想定外の出費
  8. 親知らずの痛み再発

これらは僕が持っていたなけなしの予算とやる気を吹っ飛ばして1日の睡眠時間をトリプルスコア化するのに十分すぎるダメージを叩き出しました。

甘くない話

そもそも論として、次世代機を作らずにこれを開発し始めたのがモチベーションの回復と予算の復活待ち、さらに実験であったことを踏まえると前項のダメージはありえん話です。

さらに、収入の当てがない条件下での予算の低下ゆえに手持ち資金が 過去最低にまで落ち込みます。

結果として、基板データを各種生成したものの、別に売れることの確約も、思うように動作することの確約も取れないという状況が私に以下の決意をさせます。

どうせ発注1回分しか費用は残ってないんだし、他の並列プロジェクトを完遂するまで放置しよう。

当然と言えば当然ですが、並行で進めるプロジェクトの全てがうまくいくわけはありません。

結果として、この企画を含めて計4種類のプロジェクトがたった1個の失敗によってストップ、現在に至るまで進捗が発生しないという驚異的な事態が引き起こされてしまいました。

ここで手待ちした結果、とあるプロジェクトの劇的な大失敗によって最後の一撃案件になり、全ての計算は吹っ飛び、私は企画自体を達成の見込みが限りなく弱めて再編することになり、私に実行が可能なものは、電気的に水を流すか流さないかを選択する装置を採算も取れない形で数ヶ月かけて実装するという悲惨な計画に転身してしまいました。

まとめ

想定は常に厳しく見積もるべしという格言があります。

しかし、私が皆さんに伝えたいのは、最悪の事態というのはいかなる場合でも所詮は想像ができる範囲に過ぎないということです。

であるならば、最良の対策は、最小構成物を最速で既存技術の組み合わせで作ることであると思います。

未来はあくまで過去の積分でしかないので、急激になにか離散的な進捗が出る前提で企画を立てれば必ず破綻します。

皆さんが私と同じように新規のプロジェクトを考える機会があったら、こういったことを踏まえてみると幸せになれるかもしれません。

それでは皆さん、楽しいものづくりライフを!

おまけ

せっかくなので甘い話として下に、適当なチョコケーキのレシピを載せてみます。

材料:

  • 2カップの小麦粉
  • 1¾カップの砂糖
  • ¾カップのココアパウダー
  • 1½ティースプーンのベーキングパウダー
  • 1½ティースプーンのベーキングソーダ
  • 1ティースプーンの塩
  • 2個の大きな卵
  • 1カップの牛乳
  • ½カップの植物性油(サラダ油など)
  • 2ティースプーンのバニラエッセンス
  • 1カップの熱いコーヒー(水で代用可能)

手順:

  1. オーブンを180°C(350°F)に予熱します。
  2. 9インチの丸型ケーキパンを準備し、底をバターで塗り、薄く小麦粉をまぶします。
  3. 大きなボウルで小麦粉、砂糖、ココアパウダー、ベーキングパウダー、ベーキングソーダ、塩を混ぜます。
  4. 別のボウルで卵を軽く泡立て、牛乳、植物性油、バニラエッセンスを加えて混ぜます。
  5. 湿しボウルの中に、乾燥した材料を少しずつ加えながら混ぜ、滑らかな生地ができるまで混ぜます。
  6. 最後に熱いコーヒーを生地に加え、よく混ぜます。生地は少し薄くなりますが、これでOKです。
  7. 準備したケーキパンに生地を注ぎ、オーブンで約30〜35分、竹串を刺して生地がついてこなければ焼き上げます。
  8. ケーキをオーブンから取り出して、完全に冷ませます。
  9. 冷めたら、お好みでチョコレートガナッシュやバタークリームを塗ってデコレーションします。