みなさんこんにちは、18のたくぽんです。今回はアルマイト加工を自分でやってみたのでその体験記を書いていきます。
この記事はrogy Advent Calender 2022の3日目の記事です。
アルマイト加工
希硫酸内でアルミを陽極として水の電気分解を行い、アルミ表面に酸化皮膜(アルミナ)を生成させる処理のこと。アルマイト処理を行うことで耐食性、耐摩耗性が向上するほか、微細孔を持つ酸化皮膜に染料を吸着させることで、定着性の高い着色処理が可能になる。 (ORIGINALMINDより引用)
要はアルミ製品を丈夫に、かっこよくしてくれる処理になります。エナドリみたいな色してるスポーティーなチャリなんかは、アルマイト加工されたアルミでフレームが組まれてますね。

色々薬品を使うので個人には難しそうに思えますが、実は必要なものがまとまったキットが売られています。今回はそれを買って使ってみたお話です。
やってみた
用意したモノたち
- アルマイト加工キット ¥12500
- 今回使用したものはこれです(売り切れになっちゃってますね…)
- 薬品、染料、温度計などがついてます
- 薬品を煮詰める用の容器 ¥1700(購入時) × 2コ
- 金属容器だと薬品と反応しちゃうのでホーロー製の入れ物です
- 安い・ホーロー製・直方体形状を候補に探した結果漬物容器にたどり着きました
- 直火NGって書かれてますが自己責任で直火運用してます(今のところ問題ないですが非推奨です)
- 家鍋用に購入したけど全然使っていなかったカセットコンロ
- 薬品を煮詰めるのに使用
- 煮詰める際に吸って気持ち良いものではない匂いがするので、部屋の外に持ち出せるカセットコンロがおすすめです
- 12Vが出せる電源装置
- 100均で売ってる小物たち
- ろうと ¥100
- 使い捨て手袋 ¥100
- アルミの針金 ¥100
- バケツ ¥100
- 東急水(東急ストアのウォーターサーバーから出てくる水) ¥500
- ハイター ¥300
- アルマイトを剥がすのに使います
合計でちょうど20000円ってところです。
作業開始
まずはアルマイト加工したい部品を作ります。部品の表面の仕上がりがそのままアルマイト後の仕上がりになるので、適宜磨いたりしておきましょう。

続いて、部品表面に油分や汚れが残っているとムラの原因になるらしいので、キッチンマジックリンできれいに洗います。皮脂が付かないように、この工程から手袋をしています。
部品に電気を流す準備として、部品をアルミの針金で括ってつなげます。針金が触れている部分はアルマイト加工されないので、目立たないところに括り付けましょう。


部品を電解液に漬けて、30分間電気を流します。これが陽極酸化処理ってやつですね。

陽極酸化処理が終わったら、次は染料に15分くらい漬けます。染料はコンロで50~60℃にキープします。

最後に、封孔剤という液に漬けて、90℃で20分煮込みます。この処理によって酸化被膜表面にある微細な孔が塞がれ、耐食性がUPするらしいです。

完成!きれいに染まった部品を愉しみましょう。

キットについてる説明書通りにやれば問題なくできました。5000番とか6000番のアルミだけじゃなくて、ジュラルミンもきれいに染められます。
小ネタ
アルマイト加工は思っていたよりは簡単にできますが、全工程で1時間程度かかるのでできるだけたくさんの部品を一度に染めたいですよね。そんな思いで欲張ってたくさんの部品を一度に染めた結果、↓みたいなひどい仕上がりのものができました。


陽極酸化処理の時に陰極として鉛を入れているのですが、その表面積よりもアルミの表面積の方が大きくなってしまったためにうまく処理が進まなかったのが原因のようです。急がば回れということですね。
この失敗したアルマイトですが、ハイター原液に2分ほど漬けることで剥がすことができます。剥がしてしまえば陽極酸化処理からやり直しができます。


先ほど部品に電気を流すために使った100均のアルミ針金ですが、表面にアルマイト処理がされていることが多いです(アルマイト処理がされていると電気が流れない)。針金をハイターに漬けてアルマイトを剥がしてあげることで、わざわざ皮膜の無い針金を探さずとも100均のものを使えるので便利です。
おまけ:梨地加工に挑戦
梨地加工というものがあります。アルミの表面に微細な凸凹をつくって、マットな雰囲気に仕上げるものです。これはアルマイトと組み合わせるととてもきれいなので、梨地加工にも手を出したい。

ということでどうやって梨地加工をするかを調べてみたところ、薬品を使う化学的な方法と砂などをぶつけてボコボコにする物理的な方法があるそうです。砂をぶつけるほうが簡単そうですが、専用の砂(研磨剤)は結構高い。どうしよう…
いや硬いものならなんだってぶつけたらアルミボコボコにできるやろ!
ってことで、ホームセンターで砂を買ってきました。300円。

アルミ部品と少量の水と一緒に砂をペットボトルに入れ、シャカシャカしてみます。ただこれ結構疲れるので楽をしたい。ということで、エアシリンダをボトルにつないで、空気圧でシャカシャカしました。人間は直動するようにできてないんです。
治安最悪梨地処理
そしてできたのがこちらになります。あれ?なかなか良くない?
ということで、アルマイト加工の準備をして改めて梨地加工をやることにしました。前回からシャカシャカ装置にも手を加えて、マイコン制御で人間の手を煩わすことなくシャカシャカしてくれるようになりました。かわいいね。
治安最悪梨地処理 🧠++ Edition
染めあがったのがこちらです。ピカピカした普通のアルマイト品も良いですが、梨地のマットな質感もかっこいいですね
おわり
アルマイト加工、やりたくなったでしょう?
割と簡単で、自分で作った部品がはちゃめちゃにきれいになるので、興味が出た方はぜひお試しください~~
最後に部内ロボコンの優勝景品として製作した、アルミ削り出しでアルマイト加工で着色したトロフィーをお見せして記事を終えたいと思います。ではまた~